アトピー性皮膚炎

小児アトピー性皮膚炎の病態も、基本的には成人と同じですが、小児特有のことがあります。

まず皮疹の分布ですが、乳児期（2歳まで）と、幼児期～学童期（2歳～12歳まで）で皮疹の分布が大きく異なります。
乳児期では頭皮や頬、口周り、首などに皮疹が見られます。頭皮では黄色いかさぶた上のものが付着します。頬は掻くことで皮膚がじゅくじゅくしていることも多いです。よだれで下あごがあれていたり、離乳期に食べ物により口周りがあれていたりすることが多いのも特徴です。
幼児期以降になると、活動が盛んになるため、汗の影響を受ける部位に皮疹が見られるようになります。顔の皮疹は少なくなり、首や肘、膝裏、脇の下などに湿疹が出始めます。
掻きすぎて皮膚がゴワゴワする苔癬化（たいせんか）を起こすこともあります。

もう一つの特徴は、13歳ぐらいになると寛解するケースが多いということです。第二次性徴を迎えると皮脂の分泌が増え始め、それと共にバリア機能が改善して、アトピー性皮膚炎も寛解することがしばしばあります。
従いまして、幼児期に強い湿疹が見られる場合も、これが一生続くのかと悲観する必要はありません。

治療の基本方針は成人と同じですが、乳児期の場合は特に保湿が重要です。生後2ヶ月ぐらいから6歳ぐらいまで皮脂の少ない次期が続きますので、十分に保湿してあげましょう。
特に離乳期、口周りの保湿は重要です。離乳期には手づかみなどでご飯を食べるため、口周りに食べ物がたくさんくっつきます。乾燥した口周りに食べ物がくっつくとそこから食べ物が入り込んで食物アレルギーになりやすいと言われています（経皮感作）。
食事の前に予めワセリンなどを塗ると、皮膚が保護できるので良いでしょう。