尋常性乾癬は、少し盛り上がった赤い皮疹の上に、ぽろぽろと剥がれやすい銀白色の皮膚がくっついている皮膚病です。文字通り「乾いた皮膚病」の見た目を呈しています。
刺激に反応しやすいため、刺激を受けることが多い肘や膝頭、頭皮、髪の生え際などにできる傾向があります。また関節炎を生じたり、爪に病状が及ぶと、爪が分厚くなってボロボロになったりすることもあります。
通常皮膚は1ヶ月から1.5ヶ月ほどで新しいものと入れ替わり、古い皮膚はアカとなって剥がれていきます。乾癬ではそれが4、5日ほどで入れ替わるため、古い皮膚がどんどん剥がれていくことになります。広範囲に皮疹が及ぶと、服を脱いだだけで大量の皮膚が剥がれ落ち、日常生活上大変不便になることも多いです。
皮膚のターンオーバーが亢進するため、患部は赤みを帯びて少し盛り上がり、古い皮膚は鱗屑(アカ)となって剥がれ落ちていきます。
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝的な要因(体質)も多少関係していることがわかっています。
そこに肥満や高脂血症、不規則な生活、ストレス、感染症などが関与して発症すると考えられています。男性の方が多く、子どもを含む幅広い年齢層で発症します。
ステロイド外用剤やビタミンD3製剤、それらの合剤の外用が第一選択となります。
全身に皮疹が見られる場合には、乾癬に対して効果のある波長だけを発振できる特殊な機械を用いた、ナローバンドUVBという紫外線照射が適応となります。週に一度程度照射を行いますが、当院でも施術可能です。
これらの治療でも効果が得られない場合には、アプレミラスト(オテズラ®)の内服薬が有効です。外用剤ではあまり効果が得られなかった患者さんにも有効な場合が多いです。
内服初期に下痢などの消化器症状を生じやすいこと、費用がかかることが難点です。
ナローバンドUVB
尋常性乾癬は皮膚疾患の中でも特に生物学的製剤による治療が進んでいる領域です。大変有効であるものも多く、皮疹が改善するだけではなく、難治性の関節症状なども改善します。
しかし投与に当たっては各種の検査が必要で、費用もかかるため、適応患者さんには西神戸医療センターをご紹介しています。
また、内服薬デュークラバシチニブ(ソーティクツ®)も使用が可能になりました。アプレミラストよりも効果が高いですが、こちらも投与前には各種の検査が必要であること、及びアプレミラストに比べ更に高価であることなどが難点です。この薬剤は当院でも処方可能です。